2020年6月30日

小説作法とは何か?

投稿者: フィーカス

 小説を書く上でよく言われるのが、「小説作法を守ろう」ということです。

 書籍化されている小説は校正が入るため、小説作法がまったく守れていないという状況は起こりにくいと思いますが、ネットで投稿されている小説では小説作法を守れていない作品が数多くあります。

 そもそも、小説作法とは何なのでしょうか。そして、小説作法は守らなければならないものなのでしょうか。

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結論から言うと「自由でよい」

 芸術作品は常に型破りな発想から生まれます。「そんなことやっていいの?」と思わせることも、芸術の一つです。

 もちろん、コンクールに出したり公募に出したりする際は規定がありますが、ある程度決められたこと以外は自由で構いません。

 小説においては俳句や川柳のように定型があるわけでもなく、「長編」「短編」というくくりはあるものの文字数も決まっていません。つまり、「こうでなければ小説とはいえない」という決まりはないわけです。

 もちろん書き方によっては俳句や川柳に見えたり、詩に見えたりと、人の感性によって「小説とはみなさない」ものもあるでしょうが、小説の書き方は基本的に自由なのです。

 この先小説を書き続けようと思うのであれば、小説作法は身に付けた方が良いかもしれません。ただ、「絶対的なルールではない」ということは覚えておきましょう。

小説作法は「読者への配慮」

 では何故小説作法と言うものが存在するのかというと、私は「読者への配慮」ではないかと考えています。

 もともと小説は、今の世の中のように誰もが書いて誰もが公共の場で発表できる環境があったわけではなく、商業用でしかお目にかかれませんでした(個人の趣味で書いていた人はいたでしょうが)。

 売り物である以上、売れなければ意味がありません。そして、売れるためには読者が読みやすい文章で書かなければなりません。

 どうやったら読みやすくなるか、研究を重ねて出来たものが、現在の小説作法につながっているのではないかと思います。

 従って、読者に配慮するのあれば、やはり小説作法にしたがって書いていく方が良いでしょう。

主な小説作法

 小説を書くときにいろいろなルールがある、という話は聞いたことがあると思いますが、ここでは主な小説作法と呼ばれるものを紹介していきます。

段落は一字下げ

 作文でも同じですが、段落を変える際には一字分スペースを入れます。

良い例:
 気持ちがよい風が吹き、僕の心は高まっていく。静かな海からは、まるで子守歌のような波の音しかしない。
 まるで僕一人だけが、この世界に取り残されたような、そんな気持ちのまま波打ち際を眺めていた。


良くない例:
気持ちがよい風が吹き、僕の心は高まっていく。静かな海からは、まるで子守歌のような波の音しかしない。
まるで僕一人だけが、この世界に取り残されたような、そんな気持ちのまま波打ち際を眺めていた。

 ただし、会話文の場合は一字下げしないとされています。

 水平線の向こうから、船が近寄ってくるのが見える。あの船は、一体どこに向かうのだろうか。
「こんなところで何をしてるの?」
 そんなことを考えていると、後ろから不意に声が聞こえた。

 一字下げをすることで、段落を読み終わった時に次にどこを読めばいいかわかりやすくなりますし、見た目もすっきりします。

 最近の小説投稿プラットフォームでは、一字下げを自動的にする機能がありますので、利用してみましょう。

会話文の最後は句点、読点を入れない

 小学校の作文では、一マスに鍵かっこの閉じと句点を一つのマスに入れる、と習った人がいるかもしれませんが、小説作法としては句点や読点は入れません。

良い例:
「もうこんな時間だよ」

良くない例:
「もうこんな時間だよ。」

三点リーダー、ダッシュは2文字分使う

 三点リーダー(…)やダッシュ(―)は2文字分、もしくは2の倍数で使うのが基本とされています。従って、1文字分や3文字分での使い方は通常しない、というのが小説作法とされています。

良い例:
 どうしても……どうしても伝えたかったんだ。

良くない例:
 どうしても…どうしても伝えたかったんだ。

 理由は分かりませんが、統一感の問題ではないかと思います。

「!」や「?」の後は1マス空ける

 意外と知らない人が多い小説作法として、エクスクラメーションマーク(!)やクエスチョンマーク(?)の後は1文字空ける、という作法があります。

良い例:
 彼女はどこに向かったのだろうか? 僕は周囲を見渡した。

良くない例:
 彼女はどこに向かったのだろうか?僕は周囲を見渡した。

 小説をよく読む人でもあまり気に留めていないかもしれませんが、確かに市販の小説を良く見ると、1マス空けているのが分かると思います。これを知っていしまうと、「!」や「?」の後に1マス空けてない文章がなんとなく小説を書きなれていない人が書いているように見えるのではないかと思います。

 なお、三点リーダーやダッシュの後も1マス空ける、という意見もあります。

数字は可能な限り漢数字で統一

 小説では数字は漢数字で統一するのが望ましいとされています。ただし、部屋の番号等、アラビア数字の方が望ましい場合はアラビア数字でも構いません。

 ただし、これは紙媒体、縦書きを想定した小説作法であり、横書きですべて漢数字だと逆に読みにくくなる場合があります。ネット小説においてはアラビア数字でも問題ないでしょう。

「読者の視点」で書くことが重要

 小説は自由な表現が可能です。上記のようなある程度の作法はあるものの、どんな形で表現するかは作者次第です。

 例えば書式や文字の大きさを変えたり、ハート型に文字を並べたり、背景を暗くしたり、すごい形に変形させたりしたものもあります。

 ただ、最初は読者の目線に立ち、読者が読みやすい形にすることからも、小説作法を守った書き方にすることをおすすめします。

 そのうえで、「私はこういう表現をしたい」ということで小説作法を破ることが、個性的な文章を生み出すでしょう。

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