2020年9月23日

第10回書き出し祭り 第3会場感想その3

投稿者: フィーカス

 第3会場の感想続きです。今回は10-3-18から10-3-25までです。

10-3-18 斬り続けた先の、その果てへ

https://ncode.syosetu.com/n0348gl/19/

「剣精」と呼ばれる精霊との契約が出来ない(正確には剣精が契約「してくれない」)主人公と、契約相手である精霊との物語を描いたファンタジー。

 契約しない理由が「ニート生活したい」というのがなかなか面白いですね。一体どうなれば契約してくれるんでしょうかこのロリババアさん。

 書き出しは学園での手合わせのシーンから始まっていますが、シーンに入る前の情報が少ないのと、手合わせのシーンが長いために何のために入れたのかが分かりにくいと感じました。その分、剣精についてや主人公自身の情報が欲しかったところです。

10-3-19 終末審判/魔王再臨

https://ncode.syosetu.com/n0348gl/20/

「魔王」と呼ばれた兵器により大量虐殺が行われた後の世界で、再び「魔王」が復活し、「最後の審判」が行われようとするSF。

「1人殺せば殺人者、100万人殺せば英雄。では3億人殺した場合は?」という問いかけがいいですね。確かに過度の殺人は何と呼べばいいのか、考えたことがなかったですね。

 書き出しは過去の話から入っていますが、簡単な経緯と現状を詳しく書いた方がわかりやすいのではないかと思いました。とはいえ40年前に大量殺戮をした兵器が復活するとなると、今後とんでもない展開になりそうで気になります。

10-3-20 誰か! 私にネタをください!!

https://ncode.syosetu.com/n0348gl/21/

 締め切りが迫った文芸部の主人公が、AR-AIと共にネタを探すSF。SF?

 締め切りが迫っている主人公にAR-AIという近未来的な装置に戦闘シーンにオカルトと設定がもりもりですが、それを感じさせない読みやすさになっています。単純な説明だけでなく、チュートリアル的なストーリーになっているのも良いと思いました。

 話の軸としては主人公が小説のネタを探す話ですが、AR-AIを用いたイベントや事件を自由に作れますし、いろいろと話が膨らみそうな設定だと思いました。

10-3-21 ひんぬー教の教組、異世界できょぬーに囲まれる

https://ncode.syosetu.com/n0348gl/22/

 ひんぬー教の信者だった主人公が、何故かきょぬーが優遇される世界に転生し、ひんぬーの素晴らしさを伝えようとする異世界ファンタジー。

 とにもかくにも、恐らく全作品中一番作者の性癖が一番反映されていると思われる作品です。逆に言えば、これくらいとがっていないと目立たないし、今のネット小説では生き残れないのではないかと思います。ひんぬー万歳。

 とはいえ単に性癖を詰め込んだだけでではなく、物語は真面目によく考えられていると思いました。自らが信じるものとは逆の立場に置かれ、そこから自らの思想を世界に広めようという動機を作るというのはとてもうまいと思います。構成が非常にうまい人が書いたのではないかと思います。

10-3-22 同居人は夜の蝶

https://ncode.syosetu.com/n0348gl/23/

 たまたま一緒に飲んだ女性と同居することになったことから始まる恋愛? 物語。

 書き出しでは実は同居人が水商売をしていた、というところでさあどうなるのか、というところで終わっています。場所が喫茶店とかではなくてラブホテルというのがおもしろいですね。なかなか普通じゃ思いつかないと思います。

 ここまでに至る経緯も完結にまとめられていて非常に読みやすかったですし、とても先が気になる作品だと思いました。

10-3-23 拾ったのはオッサンですか?プロ幼女ですか?オッサンで幼女な同居人ですか?

https://ncode.syosetu.com/n0348gl/24/

 ところどころでおっさんと幼女が交互に入れ替わる体質を持つ同居人を持つ主人公の苦労を描いたコメディ?

 設定がおもしろいですね。人格だけでなく性別や年齢、体格も全く異なる人物に変わる点がおもしろいです。また、この設定では大体おっさんが傲慢だったりわがままだったりで、幼女の方が優しかったりなついたりするのですが、本作はまったく逆になっているというのもおもしろいと思いました。おっさんの方が好感度が高くなりやすいのは珍しいですね。

 書き出しの時点で主人公の苦労がかなり伝わるのですが、同居人ということでまだまだトラブルやイベントが目白押しな予感がします。とても先が気になる作品です。

10-3-24 王妃の勤め

https://ncode.syosetu.com/n0348gl/25/

 人間の王妃が、獣人ではないばかりに不遇な扱いを受けるものの、そこから国を変えるために決断をするファンタジー。

 普通はこれだけ疎まれたら反逆ののろしを上げそうなものですが、当作品では全く逆。一体どのようにこの国を変えていくのか、非常に気になります。

 書き出しはどのくらい王妃が不遇だったのか、ひどい扱いだったのかを中心に書かれており、物語の進行や設定というより主人公への共感を集めるような形になっています。もちろんこれにより時代背景を説明する役割はありますが、最初に主人公の共感を得ておくというのは重要だと思いました。

10-3-25 正しくあるために

https://ncode.syosetu.com/n0348gl/26/

 常に正しさを求める主人公と、自らの正しさのために行動する友人との、「正しさとは何か」をテーマとしたヒューマンドラマ。

 ちょうど「こういう話書きたいなー」というのが文章化された感じで、なんだか先を越された気がしました(

「正義の反対は悪ではなく別の正義」という言葉がありますが、「それはどういうことか」を体現したような内容となっています。正義のためならば残酷なことも出来る。その結果どうなるのか、というのを考えさせられる話だと思いました。

第4会場の感想へ続く→