2020年9月22日

第10回書き出し祭り 第3会場感想その2

投稿者: フィーカス

 第3会場の感想続きです。

10-3-9 水曜日とお嬢様と間接キスの話。

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 サックスの練習に励む男子高生と、転校生の令嬢との物語を描いた学園もの。

 出会いのきっかけはテンプレート的な流れですが、自然な流れで間接キスに持っていくのが良いと思いました。一緒に練習したり、悩みを聞いたりできる流れになっているため、今後の展開にも期待できます。

 ただ、問題は早い段階でタイトルを回収しているものの、今後も「水曜日」や「間接キス」を題材にしていくのか、それとも書き出しだけで終わってしまうのかという疑問が残ります。例えばこの先、あらゆる場面で「間接キス」が発生する、など、タイトルにこだわりを持った展開にすれば、他の学園ものや恋愛ものと差別化できるのかなと思います。

10-3-10 憂いの実写化妨害大作戦~僕の前世は小説の主人公でしたが、今は普通に暮らしたい~

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 映画(ファンタジー小説)の元となった世界の生まれ変わりの主人公が、その映画のエキストラとして参加し、妨害しようとする物語。現代ファンタジーになるのでしょうか。

 小説元の世界にいた人物の生まれ変わりで現代社会を生きるというのは珍しいですし、オファーが来た映画を潰そうとするという話もおもしろいと思います。ただ、現状その2つの設定が活かされていないため、今後の話に期待、となります。

 それにしても監督の名前が「うさんくさい」ですか……原作クラッシャーの監督はよく話に聞きますが、よく監督になれたなぁ、と思います。

10-3-11 その出会いに花束を。そして、その別れに祝福を。

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 転校してきた、「友達にはならないでほしい」という令嬢の謎に迫る学園もの。

 ここら辺から「今回学園もの多いなぁ」と感じましたが、当作では書き出しの時点で謎と物語の方針がある程度示されており、他の学園ものとは差別化できているという印象がありました。特に「友達を作りたくない」という理由についてはいろいろ考えられるため、続きが気になるところです。

 また、登場人物についても、主人公は割と押しが強い性格、転校生についてはおしとやかでまじめ、筋を貫く姿勢などの性格が見えて良かったと思います。

10-3-12 終わる世界に手向の花を

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 崩壊した世界の中で人類救済計画を行っていた主人公が、突如裏切られたところから始まるSF。

 世界観や引きは良かったと思いますが、ところどころ不要な説明(悪く言えば「どうでもいい説明」)があり、ただでさえ説明が多くなりがちな文章がさらに読みづらく感じました。「人類救済計画」とヒロインの関係など、この辺は詳しく語られていないため、続きが気になるところです。

10-3-13 怨毒実行者

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 案内人に誘われた主人公が、憎い相手に復讐を果たすためにデスゲームを持ちかける物語。話の内容からしてデスゲーム系なのでしょう。

 目を引くのが人物描写で、案内人の女が最初から「ステーキを手づかみで何枚も食べる」という描写で異常性を引きたてています。一方主人公の方も、過去の苦労話やSNSの内容とともに「貧乏である」ということがわかる描写がされており、キャラクターを作るのが上手な人が書いたという印象があります。

 作中に「デスゲーム」という言葉があるだけで明確なデスゲーム系の話とは限らず、主人公の復讐劇を中心に書いていくのかもしれません。そう言った意味で続きが気になる作品です。

10-3-14 同居人と自分

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 魔術が残る世界で、昔男子校で同じクラスだった「ヒロイン」との同居生活を描いた物語。

 男子高生にいたのに「女の子になった」というのは、いわゆるトランスセクシャル(TS)に当たるのですが、実際の所「男だと思ったら女だった」のか、「男から女になった」のかは明示されていません。表現的に「物理法則を無視して小さくなった」とあることから前者であることがうかがえます。

 あらすじでは魔術に関して書かれていますが、書き出しだけ見ると唐突に魔術について語られているため、世界観が分かりづらくなっています。この辺は書き出しでもう少し触れてほしかったところです。

 結局のところ、やや魔術が関係する恋愛ものになるのか、あるいは魔術ががっつり関連するファンタジーになるのかは書き出しの部分では分かりません。どういう方向でも迎えるので、続きが気になるところです。

10-3-15 耳リフレ!!~清純とギャル、年上幼馴染の姉妹が僕の耳を虜にする~

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 耳掃除が趣味の幼馴染の姉と、音楽で癒そうとする幼馴染の妹とのラブコメ。

 ともに「耳」を共通とした趣味(性癖?)」で話を進めていくのは面白いアイデアだと思いました。多分作品を作るにあたり、耳掃除についていろいろ調べたのではないかと思います。

 登場人物も個性的でとても良いと思いました。ヒロインが両方年上というのも、「おねショタ」な感じになって刺さる人には刺さりそうです。しかし耳をテーマにしてどのように話を進めていくのか……気になるところです。

10-3-16 論文と引きかえに漫画の監修をしたら、胃袋つかまれていました

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 少女の難病を治療すべく、同じ病気について詳しく描かれていたマンガを見て作者の元へ足を運ぶところから始まる物語。展開的にラブコメになるのでしょうか、普通の恋愛ものになるのでしょうか。

 まずタイトルですね。タイトル発表時から話題になっていました。全く関連性のなさそうな3つのことがらが並べられていて、「これってどういうこと?」と内容が気になるタイトルとなっています。それでいて、書き出しで「なるほど、こうつながるのか」という納得感があります。

 まだ「胃袋(料理)」の部分については触れられていませんが、あらすじでは今後関連づけられるよう示唆されています。「病気」「マンガ」「胃袋(料理)」をうまく関連付けることが出来れば、とても面白い話になると思いました。

10-3-17 それでも彼女は拍手する

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 アンデッドが彷徨うダンジョンの中で護衛対象を探し、帰還を目指す主人公のファンタジー。

 タイトルからして難病の少女の物語かと思いきや、まさかのダンジョンものでした。しかしタイトルはすぐに回収されていますし、護衛対象の少女が何故ダンジョンの奥深くにいるのかという謎を持った引きがされていてとても興味深いです。

 誰かに切りつけられたら是非「ゲヒァア」と叫びながら倒れましょう。

第3会場感想その3へ続く→