2020年9月20日

第10回書き出し祭り 第2会場感想その3

投稿者: フィーカス

第2会場の感想の続きです。今回は10-2-18から10-2-25までです。

10-2-18 【汚れ落とし】しか能のなかった幼女、みんなに溺愛されながら移動清掃屋始めました。

https://ncode.syosetu.com/n0183gl/19/

 与えられたスキルが「汚れ落とし」しかなかったために各地を転々とし、奴隷として売られていたところを助けてもらったところから始まるファンタジー。

 いわゆる「はずれスキル系」なのですが、えらい便利な能力だと思うのは私が掃除が下手くそだからでしょうか(

 スローライフ系に向かうのかバトル系に向かうのか、あるいは折衷型になるのか……剣士や勇者っぽいキャラクターもいて、話の幅が広がりそうです。

 それにしても、声に出したい日本語ですよね。「絶対零度スターンプ」って。

10-2-19 影武者は玉座を望む。

https://ncode.syosetu.com/n0183gl/20/

 空席の玉座を得た「影」の主人公が、真の玉座を目指すファンタジー。

 書き出しはいずれ標的となる? 3人の宰相と主人公の紹介が主で、今後は仲間を増やしながら「影武者」としてではなく真の王となるという目的を示しています。

 3人の宰相はそれぞれ前科がある(というか、悪評が立っている)ようで、今後は彼らの行動をきっかけにして標的にしていくのでしょうか。いろいろと物語が想像できる設定だと思いました。

10-2-20 ウツロネ

https://ncode.syosetu.com/n0183gl/21/

「ウツロネ」と呼ばれる怪奇を調査しようとする主人公の物語を描いたホラー。

 こちらもタイトル発表の時点で話題になっていて、まったく予想できないためにあれこれと内容の想像がされていました。

 ストーリーは「くねくね」や「テケテケ」といった怪奇現象と同様で、「ウツロネ」という正体不明の怪奇現象がテーマになっています。

 長文タイトルが多い中で、「よくこの4文字を見つけてきたな」と思います。文章力もトップクラスで、恐らく書籍化作家さんかそれに近い人が書いていると思います。

 懸念されるのは、どうしても長編というより短編に見えてしまう点です。書き出しの地点でかなり正体に近づいている気がしており、長編よりも短編向けのストーリーではないかと思います。逆に長編になるのであれば、ここからどういう話になるのかが非常に気になります。

10-2-21 この素晴らしい『ラブホ』で執筆を!

https://ncode.syosetu.com/n0183gl/22/

 追い詰められないと書かない作家をラブホテルに缶詰めにし、体を使って無理やり書かせようとする担当編集とのコメディ。

 タイトルからしてちょっとえっちな話に発展しそうな雰囲気はありますが、現在は単に女編集者が脅しをかけている状態です(えっちなのは規定に反しますので)。

 確かに、ラブホテルって普通のホテルよりも安いですよね。おまけに朝食サービスがあるところもありますし、ある意味缶詰になるには最適かもしれません。読めばラブホで缶詰したくなるかもしれません。

 脱線しましたが、ストーリーとしてはコメディでしょうか。せっかく缶詰にしたのに別の原稿を書いていたり、トイレ行きたいのに行けないところで終わっていたり、今後もいろいろとトラブルがありそうな内容になっています。書き終わったら終わりなのか、書き終わったら次が待っているのか……そういったところも期待できます。

10-2-22 レクエルム除霊師事務所

https://ncode.syosetu.com/n0183gl/23/

 除霊師の主人公が、見習いの少女と共に除霊をしながら課題を克服していくファンタジー。

 書き出しの時点で非常にストーリーに興味が持てますし、早速少女がピンチになっていて、引きとしては十分だと思います。

 途中で視点が切り替わる点は賛否あると思います。私はすべて主人公視点で解決できるので視点切り替えは無い方がいいと思いました(その分他の情報を入れられる)が、少女側の状況と共に除霊対象がどういうものなのかが分かるので、この切り替えはありとも取れます。

10-2-23 記憶喪失の婚約者が愛人を連れて帰ってきまして

https://ncode.syosetu.com/n0183gl/24/

 戦場で行方不明になっていた婚約者が、何故か記憶喪失になった上に愛人を連れてきて大変なことになるファンタジー。ラブコメ?

 開幕から主人公の令嬢が大変なことになっていてかわいそうに思えますが、強気な態度のせいかあまり主人公に共感できませんでした。愛人が平民でそんなに悪そうに見えないのも要因の一つかもしれません。

 また、記憶喪失になった過程はまだ明らかになっていませんが、主人公と婚約者のこれまでのいきさつは説明されています。同時にこれまでどれだけ婚約者に愛情を注いだかを示していますが、どちらも中途半端な感じになっている気がします。

 書き出しは文字数が少ないので、状況整理をするか、主人公をとことん追い詰めて共感性を高めることに特化するか、どちらかにした方が良かったのではないかと個人的には思います。

10-2-24 缶詰の中で生まれ育った僕たちは、およそ愛というものを知らない

https://ncode.syosetu.com/n0183gl/25/

 人類が滅亡した世界で、人間とは別の進化をして地下生活をしていた二人が、地上に向かって旅をする? SF。

 タイトルにある「缶詰」という言葉からかなり興味を引かれるタイトルになっており、こちらも話題に上がりました。登場人物(人物?)の描写も独特で、こう、スライムが人型に変わるようなイメージが浮かびます。

 書き出しでは地上に出るところまでで終わっていますが、人類が滅亡したはずなのに滅亡前よりも栄えているとのことです。別の種族が作ったのか、実は人類は滅亡していなかったのか……いろいろと想像ができる引きとなっています。

10-2-25 Icarus

https://ncode.syosetu.com/n0183gl/26/

 ほとんどが水没してしまった世界で、少年たちがあらゆる手段を使って本土へ向かうことを試みるSF。

 科学的な技術だけでなく、各人に能力も備わっており、SFファンタジーのような作品となっています。

 書き出しの部分は具体的な脱出計画の部分まで。タイトルの「Icarus」は、どうやら空を飛ぶための機械のようです。蝋で固めた鳥の羽根ではありませんでした。

 書き出しの最後に主人公の心情はありますが、大半が世界観や機械、能力の説明、脱出の計画の説明となっています。若干説明多いかなという感じはしますが、この辺は好みで意見が分かれると思います。何となく、アニメで見てみたいストーリーだと思いました。

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