小説の場面転換、どこで決める? 場面転換と区切りについて
小説家になろうで公開している「ワタシトノベル――私の小説の書き方メモ」の部ごとのアクセス数を見ていたのですが、なぜか「場面転換と区切り」の読者が多く、「何でだぜ?」と思いました。どこかにリンクを貼られたのか、あるいは場面転換に悩んでいる人が多いのか……
ということで、今日は場面転換についての話をしたいと思います。
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結論:読む人がわかりやすければOK
どこで場面転換をするのが良いのか、というのはやはり人によって異なってきます。ですから、「こういう時は場面転換したほうがいい」「ここでは場面転換しない方がいい」というのは言い難いです。
ただ一つ言えるのは、「場面転換したことがちゃんとわかること」が重要ではないかと思います。また、読者がちゃんとついていける形にするのが良いと考えられます。
わかりやすい場面転換とは?
場面転換すべき適切な場面というのは、小説の進行やジャンル、作者の考え方によります。ただ、「場面転換した後」は、今どういう状況なのか読者に分かるようにしましょう。
- 誰の視点なのか?
- 場所はどこなのか?
- 時間、天気などはどうなのか?
- 今どういう状況で何をやっているのか?
書いている立場からすれば状況ははっきりわかりますが、読む人は場面転換すると今までの情報がリセットされます。ですから、今どうなっているのかはしっかりわかるようにしましょう。
やらない方がいいこと
具体的に「わかりやすく」と言っても、理解度は読者によるのでなんともいえません。ただ、私が「わかりにくいな」「読みにくいな」と感じたやり方がいくつかありましたので紹介しておきます。
結構書きなれていない人とか、ただやりたいからやっている人とか、結構やりがちだと思います。
頻繁な場面転換
もともと多くの登場人物の視点から書くと決めている群像劇のような話ならともかく、とにかく自分が考えたことを書きたいために頻繁に場面転換をする人がいます。
場面転換ごとに状況をリセットせねばならず、あまりに頻繁だと読者が状況把握しにくくなってしまいます。結果として、主軸となる話はある程度わかるけれど場面転換したところは覚えていない、となりがちです。また、そういう人はあんまり関係のないところ(省略しても問題ないこと)を書きがちです。
主軸となる話(特に主人公視点の話)はしっかりと書き、あんまり頻繁に場面を変えるようなことはしない方がいいでしょう。難しい場合は、時系列ごとのプロットを書いたり、場面転換したくなったらいったんメモをしておくなどすると良いと思います。
何度も各話の途中で場面転換をする
小説投稿サイトでは、長編小説の場合1話ずつ投稿が可能なのですが、話の途中で場面転換する場合があります。それ自体は珍しいことではないのですが、それを頻繁にやられると、先ほどの「頻繁な場面転換」と同様、読者は状況を把握しにくくなります。
せっかく1話ごとに区切ることができるので、1話終えて場面転換する、ということを心掛けた方が読みやすくなると思います。
話の途中で場面転換する場合は、空行をいつもより多めに入れたり、区切りを示す記号(例えば「****」と入れたり、「♦♦♦♦」と入れたり)を入れたりすると分かりやすくなるでしょう。ただ、この方法は賛否あるようです。
脈絡もなく回想シーンが入る
回想シーンを入れることでキャラクターの深堀やストーリーの原因を説明する、という方法を取る人は多いと思いますが、何の前触れもなく回想を始める人がいます。せっかくいいところまで話が盛り上がっているのに、いきなり回想シーンが入ると流れをぶった切ってしまう恐れがあります。
状況にもよりますが、必要性の薄い回想シーンを話の途中に差し込むのはやめた方がいいでしょう。いったん話のキリを付けたり、必要な場面で入れた方が読者も混乱せずに済みます。
キリの悪いところで場面転換をする
何を持って「キリがよい」とするのかは人によりますが、あまりに変なところで場面転換が行われると、「え、ここで?」と読者は混乱してしまいます。
例えば章が終わるのに変なところで終わってもやもやさせたり、盛り上がってここから、というところで場面が変わったりといった感じです。
ここは人によると思いますが、あんまり中途半端にはしない方が良いと思います。
考えなく一人称視点で視点切り替えをする
私は一人称視点での視点変更非推奨な人ですが、ちゃんと目的を持っていたりわかりやすくするのであれば問題ないと考えています。
ただ、一人称の視点変更をよくやる人は大体あまり考えてやっているというイメージがありません。基本的に、一人称の場合は主人公以外の心情に詳しくない方が都合がいい場合が多いからです。
基本的には語り手は一人に絞るようにし、伝聞で他の登場人物の情報を仕入れるようにしましょう。どうしても視点変更する場合は、地の文を工夫して、誰の視点なのかすぐにわかるようにしましょう。
無理に時系列順に話を進めようとしている時の場面転換
物語を構築していざ書こうとした場合、どうしても時系列順に書こうとしてしまう人が多いのではないかと思います。
無理に時系列順に進行しようとすると、頻繁な視点切り替えが起こる原因となりえます。
また、一人称視点の場合、直近でまったく同じシーンの別視点を書くことになる場合があります。「同じ場面で違う視点で進行し、お互いの気持ちの差異を分かってほしい」という意図があると思いますが、読者からすれば「これさっき見た」となって読み飛ばしてしまう場合があります。結果として「あんまり効果が無い」となってしまうかもしれません。
物語は無理に時系列にする必要はありません。「いつの話なのか」をきちんと把握させることが出来れば、時系列は前後しても特に問題ありません。
プロットを書いて情報整理と物語の構築を
場面転換が適切に出来ない人は、行き当たりばったりで書いてしまうケースが多いのではないかと思います。その結果、今書きたい場面をどんどん書いてしまい、場面転換が適切に行われないという状況に陥りやすくなります。
そういう人は一度プロット(物語の流れなどを簡単にまとめたもの)を作って情報整理した方が良いでしょう。まず書きたいところを一度書き出しておき、それをパズルのように入れ替えて構成を考えます。ポストイットなどを利用すればやりやすいのではないかと思います。
場面転換のやり方は結構迷っている人が多いようですが、これは個人の感覚によるものなので「正解」は無いと思います。興味がある人は、いろんな本を読んで「こうすればわかりやすいんだ!」ということを勉強してみると良いと思います。
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