インプットとアウトプットの重要性
小説を書くためには、もちろん書き始めること(アウトプット)も大切ですが、経験したり、勉強したりすること(インプット)も重要です。どちらかが欠けても小説が出来上がらなくなってしまいます。
ここでは、インプットやアウトプットとは何か、どうやってインプット、アウトプットをすればよいか、ということを説明していきたいと思います。
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インプットとは?
簡単に言えば、書くための材料集めです。材料、といっても様々な要素があり、一概に「これ」ということはできません。例えば、以下のような「材料」があります。
- 小説のアイデア
- 小説作法
- 読まれるための書き方
- 心理描写、情景描写の書き方
- タイトルの付け方
- あらすじの書き方
- 文章構成
- アイデアにおける分野の知識
- 法律
- 価値観
- 言葉の使い方
- 服装等のファッション
- 体験したことの感覚
とりあえず列挙してみましたが、小説を書くために結構いろんな要素があることが分かります。
もちろん1つの小説を書くのにすべてが必要なわけではありませんので、自分が書いている小説に何が必要なのかを考えてインプットをしていきましょう。
インプットの方法
インプットをする、と言っても、具体的に何をすればいいのか分からない人もいるかもしれません。ここではインプットの方法について考えていきます。
1.本を読む
小説の一番の教科書は小説と言われています。売れている本には売れている理由があるはずです。まず何から始めたらいいか分からない人は、ひたすら小説を読んでみましょう。
気に入った表現があればラインを引いたり付箋をはったりするのも良いですし、構成や話の流れを分析してみるのも良いと思います。登場人物の書き方や情景描写なんかはメモを残しておき、自分で使える資料を作っても良いと思います。
また、小説の書き方や文章の書き方を紹介している書籍も多数あるので、そちらを読むのも一つの手です。ただし、1冊だけだと情報が偏ってしまいますし、古い情報だったり間違った情報だったりする可能性もありますので、複数冊読んで、自分にあったものを参考にすると良いと思います。
2.仕事・勉強
仕事をしたり、学校で勉強したりして学んだこと、気が付いたことなどはメモをしておくと役立ちます。特に専門分野に特化した勉強や仕事というのは最大の武器になります。知らない人がその分野のことを書こうとすると一から学ばなければなりませんし、間違った情報を与えやすくなります。
特に新入社員の頃の経験、苦しんだり悩んだり、あるいは成功したりした経験というのは自分にしか書けない貴重な体験となります。
3.趣味・遊び
小説はエンターテインメントの一つです。書きたいジャンルやカテゴリ、テーマによって異なりますが、やはりエンターテインメントであればエンターテインメントについて知る必要はあるでしょう。
小説で書きたいことというのはほとんどが自分が好きなもの、好きなことについてだと思います。職業作家ならともかく、わざわざ苦手なことについて書こうとは思わないと思います。
ですので、遊びや趣味といったものは、全力で取り組んでみると良いと思います。自分が興味を持ったことであれば長く続けられますし、長く続けば経験となります。これもまた、自分にしか書けない物語につながる最強の武器の一つとなります。
4.旅行・外出
小説は家の中で書けるものですが、ずっと引きこもってばかりではアイデアが尽きてしまいます。また、小説ではほとんどが外の世界がメインになるのではないかと思います。
情景描写をするためには、やはり外の世界を体感する必要があります。文字だけだと、どういう時に使えばいいのか分からなくなると思います。
一番はいろんなところに旅行に行き、いろんな施設を見まわることですが、なかなか忙しい中では難しいでしょうから、最初は「外に出る」だけでもやってみましょう。ちょっと10分くらい散歩するだけでも、今まで意識していなかった世界が広がると思います。
もし旅行に出かけたら、写真をたくさん撮りましょう。外の風景や珍しい建物だけでなく、ホテルの内装や建物の様子、普段写真に撮らない場所も撮っておくと、後で資料として役立つと思います。ただし、建物の中を撮影する場合は、撮影禁止でないか確認しておきましょう。
5.家事・ボランティア
体験したことがないことについては、まったく書けないか書いても内容が薄い、あるいは誤った内容になってしまうことが多くなると思います。従って、小説の中で描写の頻度が高いものについては、ある程度体験しておいた方が良いのではないかと思います。
特に家事の場面は比較的頻度が高くなるのではないかと思います。とりわけ料理のシーンが出ることは多いため、一度自分で料理をしてみる、あるいは手伝いながら様子をみる、といった体験はしておいた方がいいと思います。
また、一人分準備するのと複数人分準備するのでは手間や工数が違いますので、一人暮らしの人は例えば家で料理を手伝ったり、パーティを開いたりしてみると良いのではないでしょうか。
ボランティアを体験するのも良いと思います。ボランティアにも町のゴミ拾いとかだけでなく、いろんなボランティアがあるので、時間があれば積極的に参加していきましょう。
6.人に会って話を聞く
自分が体験できる範囲というのは、どうしても限られてしまいます。今でこそ情報の入手というのは簡単ですが、何でも体験できるわけではありません。
その場合は、体験者の話を聞くのが一番でしょう。本当は社長とか起業している人の話とかを聞くのがいいのですが、なかなか難しいと思いますので、別業種の仕事をやっている友人などから話を聞いてみましょう。
飲み会なんかでは結構愚痴をこぼしやすいので、その業界での苦労話が聞けると思います。同窓会に出席して、話を聞いてみるのもいいかもしれません。あるいは、オフ会に参加してみるのも良いと思います。
7.アニメ・ドラマの視聴
自分の好きなアニメやドラマを見直してみる、というのも良いと思います。特にセリフ回しやストーリー展開は非常に参考になると思います。
文章ではないのでそっくりそのままマネするのは難しいと思いますが、見ている内容を文章化することで、文章力を上げることにつながるのではないかと思います。
アウトプットについて
頭の中でイメージができていたとしても、文章化できていなければ誰にも分かりませんし、本当にきちんと考えているのかも分かりません。アイデアが思いついたり、話の流れがイメージ出来たら、きちんと文章化しましょう。
小説を書くことだけがアウトプットではない
基本的にアウトプットというと、頭に思い浮かんだ話を「小説」という形で文章にすることとなりますが、それ以外にアウトプットする方法はあります。
例えばプロット(物語の原型、大まかな流れなど)を紙に書き出すのもアウトプットですし、アイデアをメモしていくのもアウトプットと言えます。
頭の中に残っている情報というのは、いつのまにか忘れてしまいます。素晴らしいアイデアがあったとしても、どこかに残さなければいろんなことをやっていて無くなってしまうので、きちんと残しておきましょう。
知識コレクターにならないように
小説を書こうと思って勉強すること自体は良いことです。ただ、ずっとインプットばかりだと、知識だけついていて物語を書かない、といった状態に陥りやすくなります(インプットばかりして知識はあるものの活かせない人を「知識コレクター」と言うようです)。
なんでもそうですが、やってみなければ分からないことも分かりませんし、自身に足りないものや勉強が必要なものが分かりません。
ですので、勉強もよいのですがとりあえずは書いてみましょう。小説作法が分からなくても、文法や構成がめちゃくちゃでも、作品がなければ評価しようがありません。
しかし、アウトプットばかり続けていると、そのうち同じような書き味になったり、同じ表現しかできなくなったりしてきます。
同じ表現により安心する読者もいるかもしれませんが、やはりそのままでは表現の幅が狭くなってしまいます。
インプットのタイミングは?
インプットばかりではよくないし、かといってアウトプットばかりでは成長速度が遅くなります。ではインプットのタイミングはどのくらいが良いのでしょうか?
いろんなパターンがありますし、インプットの方法もそれによって変わってきますので、いくつか考えてみました。
1.アイデアが思いつかなくなったとき
小説を書いていると、なかなか次の作品のアイデアが思いつかなかったり、次の展開が思いつかなかったりすることが頻繁に起こりえます。この場合、経験不足や体験不足が考えられます。
このような状態になったら、いろんな本を読んだり外に出たりして、経験を積んでみましょう。行動した結果から、次の話の展開や新しい話のアイデアが出てくるかもしれません。
2.同じ表現や似たような表現ばかりになってしまうとき
ずっと書き続けていると、徐々に語彙力が不足してきます。同じテーマやジャンルで書いていると、「あれ、この表現どっかで使ったよな」ということがよくあります。
短編や掌編ならあまり気にならないかもしれませんが、長編だと同じ表現しか使えない場合、読者が飽きてしまいます。
そうなった場合は、いろんな小説を読んで表現の幅を広げたり、外に出ていろんな情景を観察したりすると良いと思います。
3.新しいジャンルにチャレンジしようとするとき
ジャンルやテーマが変わると、書くべき内容や書き方などをがらりと工夫する必要がある場合があります。特に知識がないことを書こうとするのであれば、想像だけではなく事前の下準備は必要となるでしょう。
体験できるテーマであればいいのですが、そうでなければ関連する書籍を読む、最悪インターネットで十分下調べをする必要があるでしょう。
4.趣味で書くことから公募へチャレンジする場合
趣味で書くのであれば小説作法や書き方にそこまでこだわりは無くても良いと思いますが、いざ公募となると話は変わります。ある程度小説作法に気を配ったり、構成が重要になったり、読みやすくしたりしなければ公募に通らなくなります。
書いている途中でも技術は身に付けられますが、もし公募にチャレンジするのであれば最低限の小説作法を勉強し、構成なども工夫するようにした方が良いと思います。
5.ネット小説などの閲覧数が気になり始めたとき
ネット小説では閲覧数(PV)が見れたり、評価が付けられたり、感想を貰ったりすることができます。ただ、評価や感想をもらうケースはあまり多くないですし、ネット上で書くのであれば他人の評価も気になるところです。
ネット小説と紙の小説では、作法が若干異なったり、読まれる小説とそうでない小説が違っていたりします。もし数字が気になったり、感想が欲しくなったりした場合は、ネット小説を読む人向けの話や構築が必要になってくるでしょう。
その場合は、ネット小説でどんな小説が人気なのか、人気の小説はどういう書き方をしているのかなどの研究をすると良いでしょう。
ただし、数字を取りに行くために苦手なジャンルに手を出してしまうと、後々苦しくなってしまいます。あくまで自分が得意なジャンル、書きたいことを書くようにしましょう。
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